こんにちは、kyan(@sumibi_kyan)です♪
本日は、占冠村で焼いている広葉樹の雑木炭をレビューします!
しむかっぷ木炭のレビュー
来歴
2013年9月、道の駅しむかっぷにて5kg800円(税込)で購入。
(2014年8月には972円に値上がりしていました)
同年10月より利用開始し、2014年9月までに5回以上、約5kg使用しました。
スペック
原産国 | 日本(北海道占冠村) |
製造者 | 不明 ※占冠産を強調していたことから、おそらく占冠村木質バイオマス生産組合と思われます |
販売者 | 不明 |
原材料 | 広葉樹(雑木) |
JAN | なし |
単価 | 160円/kg(税込) ※現在は値上げしています |
箱サイズ | 未計測(ビニル袋のため) |
状態
炭の形状:バラ
叩くとガサガサとした木の音がします
焼成温度が低いことを意味します。
炭はビニル袋に直接入っていました
ビニル袋に微細な穴が開いて、炭の粉が微量ながら漏れ出していました。
販路:道の駅しむかっぷ、ニニウキャンプ場
使用感
着火性能
記録に残ってる3回分の平均値は21分、最短13分~最長30分(テント設営しながらなので放置気味)でした。
印象としては他の黒炭より着火しやすかったです。
kyanは「全体の7~8割が白い灰で覆われて、すぐ焼き物ができる状態」になるまでの時間を計測しています。(炭片の一部に着火するまでの時間ではありません)着火時間の目安は黒炭が10~20分、白炭が15~25分です。
着火時臭
嫌な匂いなどはしませんでした。
火保ち
実用レベルは30分~1時間半
薪の熾火よりは長持ちするけど、他の炭より早めに燃え尽きました。
ちょっと短いかな、という印象です。
kyanは、「熾きて焼き物ができるような状態になってから、焼き物ができない状態に火力が落ちるまで」の時間を計測しています。火保ちの目安は黒炭が1~1.5時間、白炭が1.5~2時間です(炭片の大きさによります)
火力
強めですが炎が上がることなく、焼き物の利用も十分可能です。
継ぎ足し着火
可
BBQ中に追加投入してもイヤな匂いはしませんでした。
灰量
未計測ですが、おそらく2~3%と思われます。
オガ備長炭と比較すると少なくて、1回の利用で空気孔が塞がるようなことはありませんでした。
灰の色
白色でした
消し炭としての再利用
不可
(燃焼時間が短すぎて普通に利用していたら燃え尽きてしまうこと、ボロボロに崩れるため)
木炭を利用して食材を焼き上げたところ
よいところ
着火性良好&高火力
鉄板や煮炊き、貝類や焼き鳥など高火力が求められる料理に向いている一方、魚料理では火力を絞った方がよいでしょう。
気になるところ
体積の割に軽い
パッと見の焼き加減は悪くなかった(叩くと微かに金属音がする)ものの、同じ重さの他の炭と比べて容積が大きくて炭としてスカスカ。木炭というより消し炭に近い印象です。
5kgのしむかっぷ木炭が入っていたビニール袋に、たとえばオガ備長炭なら8kg位は入りそうでした。
嵩張るが故に使い勝手が悪く、七輪や小さいBBQコンロで使うためには割らないと入りません。
しかし小割にすると(ただでさえ短い燃焼時間が)さらに短くなってしまう悪循環。
燃えつきるのも早い=頻繁な継ぎ足しが必要ということで、残念ながら使い勝手はよくありませんでした。
火保ちが悪いので、1袋5kgがあっという間になくなってしまいました。
原木で使用してる広葉樹は本来硬質で、比重の高いドッシリとした炭が焼ける樹種です。
実際、厚真木炭や浦幌木炭、弟子屈木炭などはしっかりした木炭を市場に出しています。
それがこんなスカスカで消し炭のような出来になってしまうのは、窯が悪いか(温度調整がうまくいってない)、木酢液の採取を重視して木炭の低品質に目を瞑っているか、燃料用として製造していないか(土壌改良材として焼いてるならわからなくもありません)、はたまた焼き手の技術が稚拙かのいずれか(あるいは全部)が考えられます。
昔の炭焼きは「量が多いことはよいことだ」と量重視の結果、柔らかい炭ができたという経緯を聞いたことがあります。しかし近年の主流は、備長炭やオガ備長炭に代表される硬く焼き上げられた炭が好まれていることを勘案すると、「令和の時代にこういうスカスカ炭がまだ残っていたんだ」と残念な印象です。
ちなみに、この手のスカスカ木炭の例としては道の駅「なかがわ」で購入した中川木炭製造のバラ炭、仲洞爺キャンプ場で購入した「キムンドの炭」、あとは白滝木炭(未レビュー)が挙げられますが、調べた範囲だと現在はいずれも製造していないようでした。
価格の割に品質がイマイチ
本炭の購入価格はキロ160円(当時)でしたが、この価格帯で買える炭としては海外炭や道産の広葉樹炭(弟子屈や滝上、駒ケ岳)が挙げられます。
しかし品質は大違いで、本炭は前述のとおり柔らかくて火保ちがイマイチな一方、近年の海外木炭は日本企業の資金投入と日本人技術者の指導を受けて品質は安定していますし、先に挙げた道産木炭はいずれも硬く焼かれてるため火保ち良好です。
結果として、本炭は品質の割に割高な印象を受けました。
木炭は工業製品ですが、この価格ならキロ130円程度の「そこそこ使えるPBブランドのマングローブ炭」やキロ160~200円程度の高品質な道産品木炭と比較して不利です。
今でも木炭を焼いている地域が残っていることは嬉しいですが、創意工夫して商品価値を引き上げるか、はたまた品質に見合った価格に引き下げるか・・・いずれかが求められているように思います。
向いている利用方法
オガ備長炭へのたきつけ
着火性に劣るオガ備長炭の火熾しに使うには、着火しやすいので便利です
大きなBBQコンロで1~2時間程度のBBQ
火保ちが悪いため燃え尽きるのも早く、後始末は楽です。
嵩張りますが、ホームセンターで売ってるようなBBQコンロは炭がたくさん入るので大した問題にはならないでしょう。
鉄板、鍋料理や焼き鳥に
火力は強いので、上記の用途には向いています。
感想
何気なく立ち寄った道の駅で偶然見つけ、喜んで購入した本炭でしたが・・・正直イマイチ、いやイマみっつな木炭。
火保ちが悪くて頻繁な継ぎ足しが必要な上、嵩張るため可搬性に劣るため、使いにくい品でした。
目的が「伝統技術の継承」ではなく「炭という工業製品の生産」にあるのであれば、売れる木炭のニーズを再検討し、かつライバルとの差を把握した上で炭窯の改良や焼成温度や焼成時間の変更が必要と思われます。
(もしかしたら購入後から現在までの間に改善されているかもしれません)
ホームセンターやスーパーで売られてるバーベキュー木炭を「安かろう悪かろう」といった印象をお持ちの方も多いと思いますが、均一な品質で大量生産して安価に供給できるって結構凄いことです。それらは単に現地の人件費に依存したものではなく、製炭技術者たちが努力に努力を重ねてあらゆる壁を打ち破ってきたからこそ実現できた結晶です。
こうした海外炭と競争するためには並大抵の努力では歯牙にもかからず、「昔からの製法だから」と漫然と同じ方法を続けていると周りに取り残されてしまいます。
占冠村の平成27年5月発行の占冠村議会広報によると、当時の村長が「薪・木炭いずれも販路拡大と村内消費を進めていきます」と答弁していること(PDFファイル)、平成30年度の予算として木炭製造事業の収益性の向上を図るために298万円が計上されていること(PDFファイル)から、やる気はある・・・と思うんですけどね。
占冠村はせっかく林業が盛んなエリアなのに、残念。
【評価】燃料炭としては使いにくく、商品価値は低い
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