シリーズ・胆振東部地震 ~あの時、何が起きたか~

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こんにちは、kyan(@sumibi_kyan)です。

震度7という大きな揺れと停電に伴い大混乱になった胆振東部地震から1年。
あの時何が起きたかを振り返り、各種の考察を加えて備えと心構えを新たにしようと思う。

本日は、「あの時、何が起きたのか」を書いてみます。

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2018年9月6日(木)

午前3時7分:地震発生

就寝中でしたが揺れを感じて起床。
「大きい!」と思ったけど、後で知った震度は4。
この時は、その後の影響を想像できませんでした。

PCからのBEEP音(バッテリへ移行する時のピー音)で停電を認識。
手元のスマホを点灯し、家の中を巡回。結果、家族全員の無事と家財道具への損害がないことを確認しました。
【!:枕元に電池式の明かりを置いておくことが必要】

続いて自家用車からキャンプ用のラジオとランタンを取り出し、情報収集と常夜灯として活用。この時点ではネットにはまだ大した情報が掲載されていなかったので、地元ラジオ局の速報がありがたかった。そのまま枕元でかけっぱなし(後で思えば、不安を紛らわせるためかもしれない)。
並行して実家や心配して連絡をくれた知人とSNSを通じてやり取りし、いずれも損害はなかったようで一安心。
(この時は携帯電話が普通に使えた)

この時点では停電が長時間におよぶと思わなかったので、「あとは朝でいいや(電気も使わないし)」とそのまま寝直し。
【!:停電が発生したらすぐに給水!】

空は白みがかっている。
断続的に小さい地震が続いたこともあり、外に避難した人たちもいました。
暑くて窓を開けてたのでガヤガヤ声がうるさい。

午前8時すぎ:あらためて起床。目覚めて影響の大きさにショックを受ける

蛇口をひねってビックリ。水が出ない!
このときは理由がよくわかっていなかったが、後に停電のためマンションの給水ポンプが作動しなくなったためと知ることになる。
すぐに脳裏をよぎったのは「トイレの水、どうしよう?」

高齢の家族を介護施設で面倒見てもらうため、送り出す。
本日はたまたま通いの日であったのでお願いできたが、結果的に丸2日間の停電で平穏に過ごすことは難しかったと思われ、引き受けてもらえて本当に助かりました。

今夜から道東へキャンプ遠征の予定だったが、この状況なので中止。
「どうせ地震来るなら(地震で崩壊するかもしれない)家にいるより広い野原のあるキャンプ場で設営した方がよいのでは?」と思わなくもなかったが、先のことは誰にもわからない。しかし猫さんが気持ちが萎えてしまい乗り気でなくなった以上、無理に引っ張っていく訳にもいかない。
実はその前週に連泊キャンプするべく意気揚々と出発したものの、道中のタイヤパンク(レッカーと交換に伴う時間ロス)と交換中に高齢の家族の容態が悪化したと連絡を受けて中止にしていたのだ。
その時のkyanは停電より、2回連続でのキャンプ中止が堪えた。

電車もバスも動いていないので通勤もできず、そうこうしてる間に連絡が来て今日は業務とりやめに。猫さんと相談し、代わりにゴミ部屋と化した家の整頓を行うことになった。

これは後日判ったことだが、当日は道路が液状化で崩壊したり、公営キャンプ場を中心に「安全確保ができない」という理由から受け入れを中止したところも複数あったようなので、結果的には行かなかったのも正解、ということになる。

午前中:とりあえずできることをする

整頓はkyanは直接タッチできない(kyanの基準で整頓すると喧嘩になる)ので暇を持て余して、実地情報収集のため車で周囲を散策。
偶然だが、前日にガソリンを満タンにしておいたおかげで給油の長い列に巻き込まれずに済んだ。
【!:ガソリンは早め早めに給油!】

幸い崩落や地割れはなかったが、外は信号が停まり別世界のようになっていた。
大きな交差点こそ警官が交通整理していたが、小さな交差点はそのまま。ある交差点では、何があったのかベッコベコになった車がひっくり返っていた。
「ラウンドアバウトなら事故にならなかったかもしれない…」

あちこち巡る中で、他にも非日常の光景を目にすることになる。
停電中のスーパー入口に多数の人が群がって手渡しで販売してたり、普段は人がスッカスカなケータイショップに人が群がっている。その時は「TVでも見に来たのかな?」などとノンビリ考えていたが、あとから思えばスマホを充電しに来たのだろう(キャンプのため多数のモバイルバッテリーを持っていたので、電池がなくなるとは考えもしなかった)。自家発電設備を備えた大型スーパーではレジ前が長蛇の列で買う気をなくす。ホームセンターでは「乾電池・水・カセットガス」が売り切れ。山のように棚一面あったランタン(いつも「誰が買うんだろう」と眺めていたヤツ)が1,2個残してスッカラカン。ホワイトガソリンのランタンまで売れていて、どこで使うの?まさか屋内?!と若干驚き。
山積みされていた木炭が半分位なくなっていて、
「『災害=木炭』というイメージがまだあるんだな」
「煙が多くて室内での火熾しはできないだろう」
と思いつつ、木炭が売れてるのを見るのは単純に嬉しかった(笑)

なお自家発電設備のある商業施設ではトイレが普通に使える。水が流れてウォシュレットも使える!
電気のありがたみを痛感したのはこの時だったかもしれない。

帰りに近所の公園へ立ち寄り、試しに蛇口をひねると水が出たので、一旦帰宅し、猫さんを連れて自宅にあった空のペットボトルをありったけ持参し水汲み。
水汲みはキャンプで日常的に行っていることなので特に違和感もなかった。
これでトイレも流せる(嬉)。

ちなみに水道局に問い合わせると、「(お住まいの地域は)断水してません」という話。これで「断水はマンション側の事情=停電によるもの」と理解した。

急な余暇を持て余したので、たまった写真の整理やブログ記事の下書きを執筆…するも大して進まず。今思えば地震とそれに伴う大規模停電で興奮していたのだろう。
ラジオからは厚真町を中心に甚大な被害が出ているということ、これまであまりマークされてなかった断層がずれたことなどが報じられていた。厚真の炭窯と厚真大沼野営場、大丈夫かなあ…。

午前中:固定電話が使えない

ところで自宅では、停電時でも高齢者の家族が外部へ助けを求められるよう、猫さんの要望でひかり電話ではない従来の固定電話を契約している。
「お、こんな時こそ固定電話のありがたみを実感するのか!」
停電中の今でも使えるものと、外部へ連絡しようと受話器を上げるも無反応。
あれれ?!
猫さんが迷惑電話対策に導入した新しい電話器は固定電話の48V給電に対応しておらず、猫さんはそういったことを確認せずに購入したようだ。
後日、実家へ古い電話器を取りに行かねば。

午前中:ブレーカーを落とす

ラジオで頻繁に「停電復旧時に火災になる可能性があるのでブレーカーを落として」とアナウンスが。
どうせ使えないので念の為ブレーカーを落としておいた。

午後:二度目の散歩

家にいてもやることないので、猫さんを連れてトイレがてら自家発電設備を備えた商業施設へ。
午前中にあったレジ前の列は緩和された代わりに陳列棚はスッカラカン。まるでイナゴの大群が通っていたかのようだ。とはいえ特にほしいものもない。あるものの中で、今後使いそうなものを2、3購入して帰宅。

夕方:自宅にて

地元局に選局したラジオからは周辺の避難所や充電可能スポットの紹介など、具体的な生活情報が入り始めていた。しかも番地単位で細かく紹介してくれている。こういう地域密着型の情報はネットでは入手しづらいので、ありがたい。
夕食は、家の「在庫」を適当にだしてもらう。こんな時は猫さんの買いだめ癖がグッジョブだ(笑)
幸いガスは使えるので、煮る・茹でる・炒める・焼くなど不自由しない。

GENTOSのランタンを戸棚の取っ手に引っ掛けて灯りを確保。このランタンは本当に重宝する。

そして、最初の夜がきた

徐々に部屋の中が暗くなっていき、ランタンの灯りで暗いながらも生活していけた。
ベランダから外を眺めると周囲も真っ暗。たまに車のヘッドライトや近隣住民の懐中電灯が光って見える位。あとは満天の星空。周囲が真っ暗なので空がよく見える。
自宅でこんな美しい夜空を眺めたことなんて記憶にない…この苦境も悪いことばかりじゃないね。

(SOL-013Cを天井に吊るして夜の灯りとした)

夜はスマホいじり。
やることないからネトゲでもしようかなと思うけど、回線速度がやけに遅い。アンテナバーも1~2本しか立たないから、近隣基地局の非常電源が尽きたか。
仕方ないのでオフラインでできる作業をしてるうちに夜は更けていった…。

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2018年9月7日(金) 停電から24時間経過したが…

朝:電気はやっぱりつきません

起床しても相変わらず停電。これは長期戦になると覚悟せざるを得なかった。

午前:チョコと散歩へ

いつでもスタンバイモードのチョコさん。何があっても日課の散歩は欠かさないナイスガイだ。たとえ地震が起きて社会が混乱していてもだ。こういう「非日常の中の日常」があるとホッコリする。
家の中にいてもつまらなかろう、と近所に連れ出す。
公園は平日にもかかわらず家族連れの姿を多く見かけた。中にはBBQしてる人たちもいたり(笑)
この調子だと、市街までの交通手段が断たれ臨時休業になった職場も多そうだ。ある意味でいい骨休めになっているのかもしれない。

(停電だろうがなんだろうが、チョコはチョコ。ひたすらマイペースで、それがまた癒やしになりました)

午後:自宅で引き続き整頓

猫さん曰く「10年分の整理」を実施。
J-PHONE時代の請求書とか昭和の香りがする膨らんだ缶詰とかバッサバッサと片付けていく…横でブログ記事を執筆。
PCのバッテリーは最後までとっておくとして、タブレット+キーボードのいわゆる「キャンプ仕様」で駄文を量産。いっぱい書いても、このうち記事として掲載するのは5本に1本もないんだけどね(万年スランプ気味)。

夕方:通信キャリアが次々と圏外に

ソフトバンクが真っ先に圏外落ちし、次にauが夕方頃に圏外。窓際まで行けば1本立つか立たないか…パケットも流れず事実上の投了。一方ドコモは昼頃にバー1~2本となって通信速度もガタ落ちになったものの粘り続け、夕方位から逆にバー4本に復帰した(!)
スマホだと電波の掴みが悪かったため、窓際にモバイルルータにセットしてWiFi経由で通信。するとWeb閲覧する程度の帯域は確保できたのでずっとネトゲしていた(笑)

夕方:お外deご飯

停電の解消が見込めないため、冷凍庫内の食材を消化すべくBBQ。
こんな時だからこそ非日常を楽しもう。
久しぶりに土鍋で炊飯し、冷凍庫に入ってた上富良野の豚サガリや牛タン、ハネシタなどを美味しく消化。
ついでに冷蔵庫に残っていたきのこをホイル包み焼きにして酒の肴に。

周囲は真っ暗なのでランタンを吊るして焼き焼き。
こうしているとなんだかキャンプしてるみたいだ。
その昔、母上が「普段の生活こそ究極のキャンプ」と言っていたが、こうなってみるとまさにその通りだと思う。
キャンプというと非日常のイメージがあるが、むしろ日常生活こそ究極の非日常かもしれない。

夜:ついに電気がついた!

ふと外が騒がしいので眺めると、周囲の家に灯りがついる!
試しにブレーカーを上げてみると・・・ついた!

明かりが眩しい。テレビからは厚真町での崩落、停電情報に被害者情報…様々な情報が大量に氾濫していた。PCからは通電を知らせるBEEP音。ルータに通電したのでインターネットも使える!
そして何より嬉しかったのは蛇口をひねると水が出てくること!しばらくは赤水が出るという話だったが、それでもトイレで自由に水を流せるのが嬉しい。

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停電が解消されてみて

地震といいつつ停電に振り回された感の強い2日間でしたが、何気ない当たり前の生活が、実は多くの人と技術によって支えられていることを改めて実感した2日間でした。

トイレ、スマホ、とそれらを支える電気の大切なことったら!

文章量が多くなってしまったので今日のところはこの辺で筆を置き、次回あらためて考察を書いてみます。

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