暑い夏キャンに必要不可欠なのが、冷えた飲み物と新鮮な食材。
しかし肝心な時に限って氷は溶け、ぬるいビールを飲むハメに(汗)
あるいは買ってきた肉からは異臭を放ち、泣く泣く処分するハメに…(涙)
…そんなことのないよう、本日は冷たさを長持ちさせるためのTipsを書きます。
はじめに知ってほしいこと
「保冷」と「冷蔵」、「冷凍」は異なるものです。
そしてクーラーボックスはあくまで「保冷庫」です。
ここをご覧頂いている方は「当たり前では?」と思うでしょうが、勘違いしてる方をキャンプ場でおみかけします。
冷蔵庫と勘違いしてる例
・ぬるい食材を継ぎ足して冷やそうとする ・長時間開けっ放し ・食材が異臭を放つまで庫内の温度変化に無頓着 |
「冷蔵庫」は常にエネルギー(電気なりガス)を投入し続けているため、冷やし続けてくれる一方、クーラーは保冷剤を投入した最初の時点をピークとして徐々に温かくなります。
したがって限られた冷気をいかに有効活用するかが庫内温度の上昇を防ぐポイントです。
本ページでは、「冷えた状態をいかに維持するか」を眼目として、能力を生かすためのポイントを執筆しています。
※「ぬるいものを冷やす」場合にはモービルクール等の「冷蔵庫」が必要です。
…前置きが長くなりました。早速10のポイントを見て行きたいと思います。
10のポイント
事前準備編~
①事前に食材やクーラーボックスを冷しておく(予冷)
食材はキンキンに冷やしておきましょう。全ての大前提です。
そしてクーラーボックス。
使用開始時のクーラーボックス内部は常温。
そのためクーラーボックスそのものを冷やすために貴重な冷気を使用します。
kyanは事前に冷凍しておいた2Lのペットボトルや当日食べる冷凍食品を、解凍を兼ねて入れておきます。
②内部に銀マットを使用する
冷気はクーラーボックスを開閉する際に逃げていきます。
そこで銀マットで仕切りや上蓋を作り、開閉時の冷気放出量を最小化します。
③詰め込みすぎない
クーラボックスの蓋が閉まらない位ギリギリ詰めると、蓋が浮いてしまい
貴重な冷気が逃げてしまいます。
(対策)
・嵩張るタッパ類は外して容積削減 ・必要量を小分けして容積削減 ・複数のクーラーボックスに分散する (食材の使用順番や頻度で分けるとより効果的です) ・すぐ取り出せるよう整理整頓しておく 例)よく使うもの、先に使うもの→上 冷やしておきたいもの→下 |
④複数のクーラーボックスを併用する
クーラーボックスの開閉による冷気放出を少しでも抑えるため、要求される温度、
食材の使用順番や頻度で分けます。
(使い分けの例)
ソフトクーラー |
真空クーラー |
10℃程度で十分な飲料 | 0℃を要求される生鮮食品 |
本日使用する食材 | 翌日以降使用する食材 |
頻繁に出し入れする調味料類 (バター等) |
一回で使いきれる食材 |
⑤氷点下パックを併用する
冷蔵庫の庫内の温度はどのくらいなのか?(Panasonic)によると、
・冷蔵室3~6℃ ・チルド室0~2℃ ・野菜室3~8℃ ・冷凍室-18℃~-20℃ |
とのこと。
冷蔵室として役立つ6℃までの温度をいかに長い時間確保するかが、食材を美味しくいただくポイントといえましょう。
ところで、通常の保冷剤は0℃以下で凍る=庫内温度が0℃を下回ることはありません。
しかし、氷点下パックを使用することで庫内温度を氷点下からスタートさせることが可能です。
kyanは-5℃と-16℃タイプ、それに通常の保冷剤を併用し、融けた順番に取り出すようにしています。
当日編
⑥銀マットでクーラーボックスを覆う
直射日光に晒すと庫内温度は上昇しますので、銀マットで覆って太陽光を反射させて熱の吸収を抑え、また日陰を作ります。
なお銀マットは100均のアルミシートで十分です。
⑦日陰に置く
⑥同様、直射日光に晒すと庫内温度は上昇しますので、涼しい日陰に置いておきましょう。
(テントを日向に設営した場合、テント外の日陰に移動させましょう)
⑧地面に直接置かない
日なたのサイトなど地面の温度が気温より高い場合、地面からの熱によっても庫内温度が上昇します。
クーラースタンドや台車の上に置く等、地面から放すようにします。
⑨開閉は素早く、最小回数ですませる
準備編でお伝えしたとおり、開閉の度に貴重な冷気が逃げて庫内温度の上昇に
つながります。準備編③④を参考に、極力開閉しないような工夫をします。
⑩融け出した水は適宜捨てる
最初は保冷に役立った氷も、融けてしまえば貴重な冷気を奪う厄介者。
定期的に排水しましょう。
最後に、これは当たり前ですが…、
⑪氷や保冷剤を絶やさないよう心がける
氷が無くなった瞬間から庫内温度は急速に上昇しますので、定期的にチェック&補充するとよいです。
また、保冷剤の量は550mlパック1個でクーラー8Lを目安に投入しています。
手持ちクーラーは30Lなので最低4個、真夏時や連泊の際はより多めに投入しています。
これらを実践した結果、安物ハードクーラーで2泊、六面真空クーラーで3泊は冷えた状態を安定して維持できるようになりました。また、飲み物用の氷が融けにくくなってお財布に優しいです(笑)
さいごに ~完璧はない~
クーラーボックスを完全に密閉することができない以上、庫内温度の上昇は避けられません。
今回は10(+α)のポイントをご紹介しましたが、無論これだけが対策のすべてではありません。そして今でも試行錯誤を続けていますので、またよいポイントが見つかりましたら続報を掲載したいと思います。
(2022/7/3追記)
コメントをいただき、一部内容を修正しました。
(気温が庫内温度より高い時に風を当てると冷気を奪っていくのではないか?というご指摘)
ORIONさん、ありがとうございます♪
コメント
お久しぶりです!
僕もフィクセル使用していますが、
デビュー当時はお仲間の子供が面白がって開け閉めして、、、、笑
僕もフィクセルとソフトクーラーで使い分けています。
フィクセルは2~3日目をターゲットにしています。
初日は開けない!!
難しいのが、氷点下の保冷剤ですね!
だいたい2日目の夜には溶けて来るので取り出しています。
2リッターのペットに水を入れて凍らせた物が1番生き残っている印象なんですよね~
中の仕切りは今度真似してみます!!
kiyo350zさん、こんばんは♪
フィクセルの蓋の開け閉め、買った当初は面白くてよく遊んでました(^^ゞ
ソフトクーラーとの使い分けは有効ですね~
氷点下保冷剤があると設置時点の庫内温度を0℃近辺からスタートできるため、
通常の保冷剤の他、ロック用氷が溶けにくくて便利だったりします(笑)
なお2L PETの氷が溶けづらいのは、容量に対する表面積が保冷剤より相対的に
小さいからかなと。
とはいえ2L PET、最近は実施してなかったりします。
というのも自宅の冷凍庫で2L PET入れるスペースがなかなか取れないのと、
500mlタイプの保冷剤4個分で場所を取ること、さらには「2Lの冷凍お茶」が
溶けず帰宅まで飲めなくて…
ここの運用をクリアできたらまた続編記事上げようと思います(^_^;)
こんばんは(^^)
私も今回真夏の2泊キャンプでしたが、まさにタイムリーなレポでした。
今回2Lペット2本を凍らせて行ったんですが、2日目の午前にはかなり溶け始めていたので、ロックアイスを買ってきて追加投入したのですが、1度温まり始めたクーラーボックスの中でロックアイスは見る見る溶けて行きました(^_^;)
なかなか連泊は出来ない我家なんで、2日目の夜飯は結構不安でした。
私はさらに研究が必要です(>_<)
山猫さん、こんばんは♪
真夏2泊キャンプ、おつかれさまでした(^^)/
夏の保冷はほんとに大変ですよね!
kyanも毎年格闘しています…これからも研究は続きます!
お久しぶりです。
思わずじっくり何度も読んでしまいました。
わかりやすい!
うちはクーラーの中にソフトクーラーを2つ入れて
よく出し入れするドリンク類と食材を分けています。
開閉時の冷機の逃げも防げる気がして。
保冷材は1.5Lペットボトルの氷です。
みおのとおちゃん さん、こんばんは~
お褒めいただき恐縮です(^^ゞ
クーラーinクーラー!
保冷力UPと整理整頓の一石二鳥ですね。
kyanも試そうとしましたが、手持ちのクーラーではサイズ的に無理でした(汗)
なんだかんだでペットボトル氷は保ちますよね…
最近は保冷剤の配分を研究中です(^^;)
以前の記事に失礼します。
「関連記事」で興味があって流れてきました。
相変わらずの詳しい考察。
ところで一ヵ所、?と思うところがあったのでコメントしました。
それは「⑦日陰で風通しの良いところに置く」(と関連して⑧地面に直接置かない)で
「風通し」はクーラーボックスより気温のほうが高い場合は本体を加温してしまうのではないかと思いました。
空気の熱量は小さいので熱移動の大きな要素ではないかと思いますし
扉開閉に比べたら壁面の熱移動は圧倒的に少ないので無視できるレベルなのかも知れません。
でもクーラーボックスの温度は気温よりも低いわけですから少々の熱移動はあるのかと思います。
たぶんクーラボックス外壁面に空気層を留めておくのがいいような気がします。
空気を動かさないダウンジャケットもクローズドセルマットも同じ考えかと。
私はクーラーボックスを地面に付けない・・・・けどあTだ浮かしておくのもどうかと思い
周囲を銀マットで覆って浮かしています。
ただギンギラで存在感が大きすぎるので(笑
それを大きなランドリーバスケットに入れています。
もしかしたらクーラーボックスが濡れていて気化熱として奪っていく場合は別の結果になるかも知れません。
ORIONさん、こんにちは。
お返事が遅くなりましてすみません。
深いご指摘に、お時間を頂戴しました。
(コメントをお返しする前に、当時の記事を読み直し、また空気の断熱について調べてみました)
(⑦について)
>「風通し」はクーラーボックスより気温のほうが高い場合は本体を加温してしまうのではないか
理論上仰る通りと思います。
早速、表記を修正しました。ご指摘ありがとうございます。
気化熱を考慮すると風通しがあった方がいいかも?という考えもありますが、実験してみないと確たることは言えないかなあ・・・というのが現時点の感想です。(例えば、安い保冷力弱々のクーラーボックスと、真空パネルでまず汗をほとんどかかないクーラーボックスでは事情が異なるかも)
(⑧について)
>クーラーボックスを地面に付けない
当時何度か試してみて、地べたに置いた底側は生ぬるく、空気に触れていた側面はそこまで生ぬるくなっていなかったため、このように記述した記憶があります。
空気を断熱材として見立てるならば、銀マットなどで覆って(動きにくい)空気の層を確保する方が、隙間を作るより効果があるかもしれません。
(全般に)
これから真夏キャンプの季節を前に、貴重なご指摘ありがとうございました。
初掲載が8年前でリライト対象と考えていたこともあり、その際には8年間でさらに得た知見も加えたいと思います。
(参考)
なお、コメントを返すにあたり、以下の記事を参考にさせていただきました。
ありがとうございました。
空気は断熱材(京都大学 人間環境学研究科)
http://www.gaia.h.kyoto-u.ac.jp/~fractal/detail/23.html
丁寧な返信ありがとうございます。
それにしても私のコメントの誤字脱字の多いこと。失礼しました。
「空気は断熱材」の分子拡散と乱流拡散は参考になりました。
やはり空気をとどめておくことが大事そうですね。
春先、外の氷はすぐ溶けても雪はずっとあとまで残っているのは
空気を含んだ雪、それ自身が断熱材だからでしょうか。
これは書いたか覚えていませんが、
私たちは可能ならば残雪をクーラーボックスに入れて保冷剤としています。
氷よりもボックス内の温度は高いのですが
そこまでキンキンに冷やしておかなければならない食材もありませんし
溶けにくく湿度も高いので野菜にも良さそうです。
ゆるい低温が長時間つづく方が私たちにはメリットが大きいです。
※最初から冷やしておいたビールなら冷たいまま飲めます。
実証は大事ですが屋外実験となると変則要素が多いので
同じ条件にするには同じクーラーボックスが2つ必要という(笑
あと、私も時間があるとき確認しに来ているだけなので
4日で返信があるなんて充分な早さだと思います。
お気になさらず。
記事のリライトも楽しみにしております。
ORIONさん、こんにちは♪
保温には「断熱」と「遮熱」の2つが重要で、「断熱」のためには空気も大事な要素…、こうやって文章にしてみると当たり前のようで目からウロコでした。
残雪がなかなか溶けないのは、ひと塊になってると外気に接する表面積が体積の割に小さいのと断熱の相乗効果でしょうか。
残雪を保冷剤とするアイディアははじめて伺いました。
食材によって保冷に適した温度は異なりますが、ビール(飲料)ならば5℃位で十分冷え冷えですね。
何より、天然のエネルギーを効率よく活用されているのが素敵です!
実証実験はご指摘のとおり難しいですね。
実は、この記事を書いた後でフィクセルの後継モデルも買ってまして2つあるにはあるのですが…保冷力が違うので比較実験にはならないというジレンマも(笑)
その後わかったことは、折を見てリライトに反映させたいと思います。
ありがとうございました。