八雲町のアワビ産地偽装について

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本日、今年の「あわびの里フェスティバル」で使用されたアワビが、熊石産と誤認させておいて実は半数が韓国産であったことが報道されました

(産経新聞 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140626/crm14062612520008-n1.htm 現在はリンク切れ)

記事の要点は、
・全量の半数は熊石産と偽って韓国産アワビを販売した
・養殖に失敗して必要量を確保できなかった
・騙すつもりはなく、必死で頑張った結果言うのを忘れてた

というもの。
kyanはここ3年間連続で熊石産アワビを食べたくて参加していたので大変残念です。
(2012年/2013年)


(写真:かつてのあわび祭りで食べたアワビ。あれは美味しかったな…)

合わせて八雲町からニュースリリースが出ています。
詳細はリリースをご覧頂くとして、わからない点は八雲町へ問い合わせました。


聞いてみた
発表タイミングがなぜ今なのか
実行委員会で当初は問題視されてなかったが、6月に入り町を交えた会合で話し合った結果、『産地偽装ではないか』という指摘があり、今回の公表に至った。

外部からの指摘があって(隠しきれずに)公表したのではないか
外部からの指摘によるものではない。

当日、関係者はこの事実を知っていたか
末端の販売員含めて事前に知っていた。

単品販売に産地を偽装したアワビの全量(9850個)振り分けられたというのは本当か。
また、どうして単品販売に振り分けたのか。

割り当ては本当。理由は調査していないのでわからない。
業者への割り当ては購入したアワビ到着前から行っていたため。

地元産ではない知りつつ笑顔でアワビを販売したのは、人の心があればさぞ辛かったでしょうね。

雑感
ここは理解できる
・水温低下により全量の約80%が死滅して数を確保できず、祭りの開催が危うくなった
 ⇒報道に出ていたので、「大丈夫かな~」と心配した記憶があります。

問題はここ
・稚拙な状況判断、代替手段の検討が遅いこと
 ⇒八雲町のリリースによると、代替手段の検討は5月12日(祭り6日前)に
  2回目の生残率調査を実施し生残数20%と判明した時点で始めています。
  しかし、大きなイベントでまとまった個数が必要、かつ「開催することより、
  中止にすることの困難の方が大きい」と理解しているのだから、本来なら
  1回目の生残状況調査を実施して生残率44%と出た4月22日の時点で
  即時検討・近隣市町村への打診を行うべきでした。
  漁業のプロらしからぬ見通しの甘さと、行き当たりばったり的な態度が
  大本の原因と思われます。

・地元産アワビのみではないことを周知しなかったこと
 ⇒前述の記事によると

町は「だますつもりはなかった。大変申し訳ない」と謝罪している
植杉俊克副町長は「アワビを確保することばかりを考え、韓国産と表示することを失念していた」

 と話してますが…
「言わなかったことはごめん。でも熊石であわび祭りをするからといって、熊石産アワビを使用してるとは一言も書いてない。だから騙したことにならない。」

  こうですか?全く理解できませんパンチ

  八雲町は古くから酪農と漁業といった一次産業で成り立っている町。
  漁協は言うまでもなく町も食の信頼に対して当然高い意識を必要とされる立場なのに、
  「他意はない。産地偽装の故意はありませんでした」は通用しません。
  (官庁として、企業が同じことやった場合にどう判断するかを考えれば誰でもわかる事…
 アワビロンダリングを決定した会議には町職員2名いたのに、一体なにやってるんだか…
 「僕は事務方なんです」は通用しませんよ

・関係者は全員知っていたのに、「6日間でフェスティバルの開催にこぎつけること
 ができたという気持ちの方が大きかったため」周知しなかったこと

 ⇒(リリースを信用するなら)外部から購入したアワビは全量を単品販売に充てています。
  一方で、贈答用や弁当や加工用に業者へ引き渡す分は全量熊石産です。
  これは、
   「贈答に地元産と偽って使うのは恥ずかしくて渡せない」
   「町内の関係者は見ればわかるので素人への販売に回そう」
  といった意思(暗黙の了解含む)が介在しているのではないでしょうか?


・単価318円で仕入れたアワビを単価350円で販売し、利益を出していること

 ⇒ちゃっかり約1割の利益を上乗せしてるんですよね。
  これで「祭りを催行しようという善意からやむなく偽装しました」は通用しません。

産地偽装の原因と思われること
・実行委員会の状況判断の甘さ
・遅すぎる代替案の検討
・消費者軽視の甘い認識
・産地偽装の提案者および追認した他メンバー、同席した2名の町職員の、
 町民や消費者が町や漁協に対して寄せる信頼への軽視

リリースには消費者に対して謝罪してますが、あわせてこんな事をさらりと書いてます。

今回の件で熊石の漁業の振興や漁業者への影響、意欲の低下につながるようなことは決してあってはなりません。
そのことが実行委員会として一番の心配であり、何よりも重大な責任を感じるところであります。

お詫び記事掲載後でも、どうやら一番大切なのは消費者ではなくまず身内のご様子
身内の商売に影響が出る事への申し訳なさのようです。
…この認識だと、いずれまた形をかえて信用失墜行為をやるでしょう。

どうしたらよかったか
・事情を記載した文章の掲示
 事情と事実を公表して、購入するしないは顧客の判断に委ねるべきでした
 (熊石産ではないアワビが余ったら困るから公表できなかったのでしょうか?)
 長年築き上げた「信用」の価値を理解できていない人たちがいたのでしょうね。

・近隣産を取り寄せ、信用料と思って赤字覚悟または値上げして販売
 発端はやむを得ない事情とはいえ開催を中止できないのであれば、周知を行うなり
 当初検討した通り協力を得て近郊(上ノ国と貝取澗)から取り寄せるべきでした。
 経費面でも、近郊漁協との協力や自助努力(自分達で発泡スチロール持参し
 引取に行くetc)で本来の原価との幅を抑えることができたのではないでしょうか。

 ※車で片道1時間かからない位ですし、漁協であればトラックの1~2台を急遽融通する
  術は持っていたでしょう…安易に流されたという印象です。
  地方って人と人のつながりが重要だからある程度なんとかなったと思うんですよね。
  (それとも近隣市町村の漁協と風通しが悪かったのかな…?)

おわりに
「あわびの里フェスティバル」の開催目的は観光資源と漁業振興と思われます。
誰が熊石まで輸入品のアワビを食べに行くのでしょうか。
また、産地を偽ったアワビを提供して漁業振興にどのようにつながるのでしょうか。

一度偽装があると、今後このように確認されることでしょう。
「このアワビも産地偽装してる?」
「八雲牛って本当に八雲の牛かしら?」
「幹部が率先して偽装するような町の産品は怖いから買えない」
結果として、信用を裏切るとトータルコストはその場しのぎの帳尻合わせより高くつくことになります。本件とは無関係の町民にはよい迷惑ですね。

「食材一流・料理三流」なんてブラックジョークがありますが、「食材は偽装・料理三流」じゃ話になりません

こんなことで八雲町が全国区になってどうするのか、少々縁があった者として情けない思いで一杯で、猛省して今後は一般常識に則った運営を心がけることを希望します。

コメント

  1. yah より:

    おはようございます。

    腹ただしいです!
    以前僕も何度か遊びに行ってたのもありますが、非常に残念です・・・

  2. kyan より:

    yahさん、こんにちは♪

    まさか八雲でこんな事になるとは思ってなかったです(汗)

    再発防止の願いを込めて辛口で書きましたが、旧熊石町の時代から続く
    地元では数少ないイベント。
    改めるべきは改めて、是非来年も続けていってほしいです!